時価よりも低い価格での不動産売買

不動産売買

Q 20年ほど前に父の相続の際に、兄弟4名で自宅の土地建物を共有として相続登記しました。自宅の土地建物は長男の私が使用しておりますので、他の兄弟の持ち分の譲渡を受けて単独所有したいと考えております。その際に、持ち分価格をどのように決めたらいいですか?

A おそらく、兄弟間の売買なので、他の相続人は時価よりも安い価格で譲ってもいいとおっしゃっているかもしれません。
 しかし、「時価よりも著しく低い価格」で譲渡した場合は、その価格と時価との差額を贈与により取得したとみなされ、買主に贈与税が課税される場合があります(相続税法7条)。
 そこで、「時価よりも著しく低い価格」とは言えない価格で譲り受ける必要があります。
 不動産の価格は、①固定資産評価証明額、②路線価(相続税評価額)、③公示価格(路線価÷0.8又は固定審査評価額÷0.7)などの評価方法があります。
 ①は時価の70%といわれており、著しく低い価格といえるのかどうか微妙ですが、特別な事情でこの価格を採用するのであれば、不動産鑑定等の合理的な根拠が必要であると思います。
 ②の相続税評価額も時価の80%といわれており、この価格であれば、著しく低い価格とは言えないと思われます。
 裁判例としては、親族間で相続税評価額と同程度の価額かそれ以上の価額の対価によって不動産の譲渡が行われた場合、相続税法七条にいう「著しく低い価額」による取得とはいえず、贈与税が課されないと判断された例があります(東京地裁平成19年8月23日)。
 ③の公示価格であれば、ほぼ時価と同じといっても問題ないと思われますので、「著しく低い価格」といわれることはなかろうと思われます。ただし、譲り受ける側としては高すぎると感じるのではないでしょうか?
 したがって、①で不動産鑑定士の鑑定評価を受けるか、②で相続税評価額を使用するのか、いずれかの方法で価格を決定するのが通常と思われますが、①の場合は、鑑定費用が必要となります。
 以上、ご参考にしてください。

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