新型コロナウイルスの影響を受けている中小企業の経営者がまずやるべきこと

新型コロナウイルスの影響を受けている中小企業の経営者がまずやるべきこと

 新型コロナウイルスの影響により、多くの中小企業の売上が激減し、先行きが見通せず、不安に感じておられる経営者の方も非常に多いと思います。

 私が弁護士になって16年が経ちましたが、弁護士になった当初は、破産専門の弁護士でした。

 その時の経験から、経営環境悪化の一途をたどる現状をどう乗り切るのかについて考えていることをお伝えしたいと思います。少しでも参考になれば幸いです。

 家族や社員を守るべき責任の重い経営者の方が、まず、考えなければならないことは、破産を避けることです。

 破産する会社を見て「もっと前に、こうすれば破産を避けることができたのではないか」と苦々しく感じた経験も少なからずあります。

 新型コロナウイルスによって、経営不振に陥っている経営者の方にとって、非常に苦しい状況ですが、この状況を脱し、破産を避けるために、まず最初にやるべきことは何か、を説明したいと思います。

破産を避けるには破産とは何かを知ること

 破産を避けるには破産とは何かを知る必要があります。

 そこで、どの様な状態となれば破産なのか、を説明します。

 破産状態とは、会社の債務を支払いできない状況に陥ることを言います。「支払い不能」の状態が破産法上の要件です。

 借り入れや仕入れ代金等を、会社の現預金残金で返済しきれない場合は、支払い不能となり、破産の状態になります。

 黒字であっても支払い不能であれば、破産の要件を満たすことになります。

 逆に、赤字でも現預金さえあれば、破産の状態とは言えません。

 黒字か、赤字かは、支払い不能とは関係がありません。

 現金預金が減少傾向にあり、それがゼロになった場合は、支払い不能となります。

 よって、現預金がゼロにならなければ、破産を避けることができます。

現状の把握

多くの中小企業の経営者は、不安を抱えていても、あまりそれに向き合おうとしない人が多いです。いつ会社の現預金が底をつくのかを知ろうとしません。

 とりあえず、コロナ対策の特別枠の融資を申し込んだり、補助金や助成金の申請をしようとしたり、税理士などに相談したりしますが、会社の正確な現状を把握することの方が先決です。

 このままの経営状況が継続した場合に、いつ、会社の現預金残高がゼロになり、破産状態となるのかを正確に予測することが大切です。

 あと、3か月もつのか、6か月もつのか、1年もつのかを現在の現預金の入金と現預金の支出から予測することが大切です。

 繰り返しになりますが、一番大切なことは、あと何か月すれば会社の現預金残高がゼロになるのか、をなるべく正確に予測することです。

 そのためには、資金繰り表を作成することが必要です。

 資金繰り表を作成すれば、あと何か月すれば会社の現預金がゼロになるかを予測できて、現時点の会社の現状を把握することができます。

 資金繰り表を作成して、会社の現預金残高がゼロになる日を明確に予測できれば、ゼロにならないようにする対策を具体的に考えることができます。

 税理士の作成する決算書や月次の試算表を見ても、必ずしもこれから先の予測を正確にすることはできません。

 決算書や試算表は過去のデータだからです。また、試算表では月末の現預金残高はわかりますが、月初めから月末までのいつの時点の現預金残高が一番少なくて、それがいくらなのかもわからないからです。

 また、更に、資金繰り表は、税理士などが作ると効果が半減します。
経営者自身が正確に自分の会社の現状を把握するこが大切であると思います。

 大切なことは現預金額がゼロになり、破産することを避けることですから、一番大切な情報は、「現預金残高がいつゼロになるか。」という事実です。

資金繰り表の作成方法

 資金繰り表は、今後の現預金の入金と今後の現預金の支出を予測して一覧表にしたものです。

 資金繰り表のフォーマットはここからダウンロードして作成してみてください。

 経営者の方に限らず、経営者とかかわる税理士や司法書士、社会保険労務士、行政書士、経営コンサルタントの方も、ご自分の顧客に資金繰り表の作成を勧めてください。現状把握なしに、経営に関するアドバイスなどできるはずがありませんので、できるだけ多くの経営者の方に資金繰り表の作成を勧めてください。

 まず、現預金の入金欄ですが、売掛金の回収時期、実際の回収可能性を考えて現預金の入金日に金額を記載します。

 また、現預金の支出について、買掛金の支払い時期、借り入れ金の返済時期と額を確認して、書き入れます。

 ひと月の内、最も現預金残高が多い日と少ない日とその残額を把握します。

 ひと月分の資金繰り表の作成が終わって、まだ現預金がマイナスにならず、残金があれば、まだ会社は倒産しません。

 ひと月分の資金繰り表の作成が終わったら、翌月分の資金繰り表を作成します。

 また、翌月の現預金残高が一番少なくなる日の現預金残高が、前月よりも少なくなるのか、どれぐらい少なくなるのかを把握します。

 先月よりも現預金残高が30%ずつ減少している状況であれば、3か月余りで現預金がゼロになります。

 要するに、3か月後に破産状態となります。

 先月よりも現預金残高が20%ずつ減少している状況であれば、まだ5か月猶予があります。

 先月よりも現預金残高が8%ずつ減少している状況であれば、まだ12か月は大丈夫です。

 現預金が減少傾向にあれば、現預金残高がゼロになるまで、資金繰り表を作成します。

 これで、現預金がゼロとなる時期が来るのかどうか、来るのであればいつ来るのかを把握することができます。

 仮に、6か月後に、現預金残高がゼロになることが分かった場合、どのような気持ちになるでしょうか?

 多くの経営者の方は、「あと半年の命。」とか言って、絶望的になるかもしれません。

 しかし、何事も逆から考えると良いことが多いです。

「まだ、半年もある。」と考えてください。

 タイムリミットが6か月であるとすれば、それを何とか8か月にできないか、12ヶ月にできないか、知恵を絞るのです。

 知恵を絞るためには、前提となる正確な現状把握が必要です。

 資金繰り表は絶対に必要な資料です。

 破産を避けるための対策は、まずは正確な現状の把握から始めてください。

漠然とした不安

 うちの事務所は、もともとは弁護士事務所ですが、税理士事務所もやっており、経営コンサルタントとして経営改善のアドバイスもしているので、普段から資金繰り等について相談を受けることが多いです。

 よくある相談は、

  • どうしたらいいか?
  • 借り入れできるか?いくら借りたらよいか?
  • 店舗を縮小した方がいいか?
  • 従業員は守りたいが、何人ぐらい解雇すべきか?
  • 解雇するにはどうしたらいいか?
  • リスケした方がいいか?

など、漠然とした相談ばかりです。

 要するに、漠然とした不安があるが何をしたらいいのわからない、という経営者が多いのです。

 しかし、資金繰り表を作成したうえで意見を求める経営者の人はほとんどいません。

 私は、まず、資金繰り表を作成することをお勧めして、経営者自身がご自身の会社の現状を正確に把握することが大切であると説明しています。

 資金繰り表は、半年分なら3時間程度あれば作成できると思います。

 資金繰り表を作成した経営者の方の相談は、かなり具体的になります。

 また、ほぼ自分で対策を考えられる状態になります。

 不安が漠然としている場合は、ますます大きくなり、その状態が長期間経過すると不眠症になり、病気になる可能性もあります。そんな経営者の方をたくさん見てきました。

 不眠症は病気の第一歩です。不眠症が続くと鬱になりかねません。

 鬱は、一言でいえば、「自殺する病気」です。

 私が弁護士となった平成14年は年間の自殺者が3万人を超えていました。

 コロナウイルスにより、再び長期間の不況に陥り、経営不振によって病気になって自殺を考える人が増えるかもしれません。

 再び日本がそんな状態になることは、是非とも避けたいと思っています。

 そのためには、できることは何でもしたいです。

 経営者の方も、できるだけのことはしてください。

 税理士などの士業の方も、お客さんのために、できるだけのことをしてください。

 勇気をだして、不安を乗り越えて、資金繰り表を作成してください。そして、いつ現預金残高が無くなるのかを正確に予測してください。

 そうすれば、漠然とした不安が、気が付かないうちに、現預金残高がゼロになる資金ショートを回避するための具体的な対策を考える頭に切り替わります。

 騙されたと思って、是非、すぐに資金繰り表を作成してください。

 以上が、新型コロナウイルスの影響を受けている中小企業の経営者がまずやるべきことです。

 初めの出発点を間違うと、必ず解決までに無駄な時間と労力を費やすことになりますので、ここだけは間違わないようにしてください。

 長文を最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。

 引き続き、破産回避の方法を発信していきたいと思います。

令和2年5月16日 弁護士 白木智巳

 このブログ記事の著作権は放棄します。記事をコピーしたり、私の名前を削除したり、内容を少し変えて転載することを事前に了承します。
 弁護士や税理士、社労士等の士業の方、経営者で経営の勉強会に参加されておられる方などは、できるだけ多くのご自身のお客さんや経営者仲間の方に対して、資金繰り表の作成をお勧めしたり、この記事をお知らせいただければ幸甚です。
 なお、ホームページやSNS等に転載される場合は、本ブログのコメント欄からお知らせいただくと助かります。

 この記事への感想やご指摘、もっと知りたい情報などをコメント欄にお書きください。
 この記事へのコメントを書く👉

事業再建に関する記事に関してはこちらも参考にしてください

◆事業再建と破産による人生再建≫≫こちら
◆新型コロナウイルスの影響を受けている中小企業の経営者がまずやるべきこと(現在のページ)
◆コロナ不況から家族と経営を守るためには≫≫こちら

お問い合せはこちら

LINE無料相談ははこちら

コメント

  • Facebookにてシェアさせて頂きます。

    ありがとうございます。
    Facebookにて情報シェアさせていただきます。


  • Re: Facebookにてシェアさせて頂きます。

    ありがとうございます。宜しくお願いいたします。


  • ありがとうございます

    私は保険代理店の経営の傍らで、お客様と資金繰り勉強会を行っています。
    しかし、勉強会に出て来られる方でも、資金繰り表をなかなか作成しようとされません。
    どうしても後回し、先送りにされます。
    この記事を、ぜひ勉強会メンバーにお伝えしたいと思います。
    ありがとうございます。


  • Re: ありがとうございます

    経営の実態を把握するには資金繰り表の作成が第一歩です。どうもご自身の経営に自信ない経営者ほど資金繰り表を作成したがらない傾向にありますね(笑)。資金繰り表作成で倒産を回避できた企業がたくさんあります。そして、それがその後の業績向上、及び、現在のコロナの影響下でも倒産しない財務体質の礎となっていることは紛れもない事実です。その事実をお伝えいただき、多くの経営者のお力になっていただければ幸甚です。コメント、ありがとうございました。



認証コード4939

コメントは管理者の承認後に表示されます。